■モバゲー(mobage)Presents 嶋田隆司トークショー&サイン会レポート
ゆでたまご嶋田隆司先生による新書『火事場の仕事力』が発売に至り、13日、ブックファースト新宿店では、出版記念トーク&握手&サイン会が行われました。現在連載中となる「キン肉マン」の制作秘話も飛び出したトークショーの模様を、下記にレポート致しますので是非ご覧下さい。
今回の新書は、中井義則先生とのタッグはもちろん、数々の独創的なアイデアで「キン肉マン」を人気漫画へと押し上げた嶋田先生による漫画家32年の仕事術を綴ったものです。執筆の理由を「ワニブックスの担当の方が“イワオ”って名前だから」と冗談で場を和ませた嶋田先生は、「一度自伝を出したことはあるんですけど、自分達の仕事のやり方は残しておいたほうがいいかなと。漫画家の生活って特殊って思ってるかもしれませんが、皆さんとそんなに変わらない。自分達の漫画の作り方が、皆さんの仕事や生活に、ちょっとしたヒントになって応用して頂ければいいかなと思いました」と話します。
新書のお勧めサブジェクトを「ピンときた瞬間を逃さない」と紹介した嶋田先生は、「僕とか中井君は直感で漫画をやっている。他の作家さんみたいに綿密に複線をはって整合性をとるということはしない。その時にたまたまテレビで見たこと、山が映っていれば“これをトーナメントマウンテンにしたら面白いな”ってなるし、普段から資料を集めたり、意識はしていない。本当に直感でやってます」といい、「この中に書いてあるんですけど、メモは取らない。他の作家の人に当てはまるか分からないんですけど、メモを取った時点で忘れてしまう。頭の中にアイデアを留めておく。それで忘れたアイデアはたかだかそれだけのもんだなって。逆に覚えておいたら、それは強烈なアイデア。いつも真剣勝負で打ち合わせをやっている」と説明、まさに“嶋田流仕事術”と呼べるその一部を明かしてくれました。

また、大事なポイントとして、「一番実現したいと思うことは他の人に言っておく」とも語った嶋田先生。コミックス1巻の作者コメント欄に『もうベストセラーまちがいなし!そうなれば本だけでなく、テレビ化・・・いや、映画化だって夢ではないし、町では、キン肉マンの人形やお菓子だって売り出され・・・・・・』と書いていたエピソードを改めて紹介すると、「全部叶いました」とキッパリ。「クラスで漫画家になりたいっていう人は一杯いたんですよ。でも、僕だけが本気でなりたかった。皆、なれたらなりたいという感じだった。先生も友達も馬鹿にしたけど、やりたいことは心に留めておくようにしたい。キン肉マニアっていう30周年の時のイベントやったんですけど、これも5年間言い続けていました」と、信念を貫くことの大切さを伝えました。
そして、話題が今月4日に発売になった『キン肉マン』38巻に及ぶと、ストーリーの序盤で、ジェロニモが竜巻から人々を守り、テリーマンが電車に轢かれそうな子供を助けるというシーンについて、その裏側にあった想いを明かします。
「キン肉マンが週刊プレイボーイのリニューアルに伴い、WEBに移行した時に、本当にどうしようかなって。他の雑誌に行こうかなって考えました。そんな時に3.11が起こった。ツイッターでフォローしてくれている東北の方から沢山連絡を貰い、その一ヵ月後、気仙沼で被災地に入って漫画教室をやりましたけど、子供達に“キン肉マン知ってる?”って言っても誰も手を挙げない――と思ったら、後ろでお父さん、お母さんが手を挙げてくれた(笑)」
「震災の影響で雑誌が届かないという話も聞きましたし、震災で頑張ってるのが、キン肉マン世代のお父さん、お母さんだって思ったら、連載をWEBにすれば、タイムラグなく(作品が)届く。頑張ってるお父さん、お母さんが好きだったキン肉マンを、もう一回やろうと。(再開したキン肉マンの冒頭では)本当は超人が津波を防ぐシーンを描こうと思った。でも、それは生々しいだろうと思って止めましたが、超人っていうのは人間を守るためにいるんで。外敵と戦うためじゃない。“超人がいたら震災の時にどうしたんでしょうか?”って訊かれたことがあるんですが、ジェロニモやテリーマンは同じことをするだろうなって」と、作品中に込めた“被災地へのエール”を語ってくれました。
そして、発売翌日には増刷が決まり、売り切れた書店も続出したという38巻の反響について訊かれると、「WEBでやっているんで大したことないと思っていたんですけど、ツイッター、facebookをやっている方から感想がきて、それが口こみになってどんどん広がっていきましたよね。今は面白いものを描いていったら、ちゃんと広まるんだって」と手応えを掴んだ様子の嶋田先生。会場に集まったファンの方には、「漫画の世界と、皆さんの世界はそんなに変わらないので。僕が思った精一杯のことは(『火事場の仕事力』に)書いてます。この手の本の場合、成功談みたいなことを書く人は多いと思いますけど、ネガティブなことや失敗談も沢山書いてます。こんなに失敗しても、32年間続けれられるんだって。皆さん、是非読んで下さい」というメッセージを発しました。
その他にも、トークショー後、ファンの方の質問に答えていった嶋田先生。「超人募集」については、「家の中にある身近なものが超人になる、それが一番かもしれませんね。大人の方でスゴイ凝った超人を送ってきてくれる方もいるんですけど、まず使えない。ステカセとか、チエノワマンとか、そんなのがいいですね」と答え、「中井先生との仲」を訊かれれば、「中井君とはほとんどケンカしたことない。本当に(漫画家になって)一年目くらい。一つ屋根の下で描いていたときはケンカしましたけどね」と振り返りました。
連載再開によって印象が変わった超人については、「悪魔超人」と即答した嶋田先生。「正義超人がカプセルから出てくるまでの繋ぎくらいに考えていたんですけど。ステカセの愛くるしさとか皆好きだったんでしょうね。意見として小さかったから伝わってこなかった。ツイッターやfacebookができる前から(読者の方の意見を)汲み取れたらもっと良かった」と述べ、キン肉マン・ベストバウトについては、キン肉マン×ウォーズマンを挙げ、「キン肉バスターが出たのもそうですし、キン肉マンがマスクだったのが分かるのもあの試合。ラストの雨のシーンは思い出深く、あのシーンで吹っ切れた。今でも何かあったら見返しますね」とコメント。II世のついては「II世のファンも多いので、もう一度やらないとダメだなっていうのはあります」と話し、現在連載中の「キン肉マン」の「最終話のシナリオの構想」を訊かれると、「あるワケないじゃないですか。ゆでたまごですから。たまたま見たモノや直感でやるということですね」と笑って答えました。
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